定期借地権付きマンションとは?購入するメリットや向いている人を紹介

購入の豆知識

二見 敬祐

筆者 二見 敬祐

不動産キャリア11年

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定期借地権付きマンションとは?購入するメリットや向いている人を紹介

購入したいマンションに「定期借地権付き」の表示があり、どのような物件なのか知りたい方もいるでしょう。
マンションには一般的な分譲タイプと定期借地権付きタイプがあり、購入する前にそれぞれの特徴やメリットを把握する作業が欠かせません。
この記事では、定期借地権付きとは何か、購入するメリットやデメリットと向いている方を紹介します。

購入前に知っておきたい定期借地権付きマンションとは

購入前に知っておきたい定期借地権付きマンションとは

定期借地権付きマンションとは、地主から借りた土地に建築した物件であり、所有できるのは建物だけに限定しているタイプです。
一般的な分譲タイプは、購入すると部屋(区分)の面積に応じた土地のオーナーになるシステムになっています。

定期借地権付きとは

定期借地権付きとは、期限を設定した借地権であり、その場所に建設した構築物の所有者(借主)は地主に地代を支払わなければなりません。
契約した期間が満了したときは更地にして返却する約束になっており、構築物を解体するのが原則です。
借主は、定期借地権を第三者に貸し出したり転売したりできるため、不動産会社やディベロッパーなどが借地権付きのマンションを建築できます。

分譲タイプとの違い

分譲タイプとは、土地の所有権がセットになったマンションです。
現在流通しているマンションのほとんどは分譲タイプであり、定期借地権付きタイプは多くありません。
土地の所有権には、専有部分を所有する権利と利用する権利のほかに、エレベーターやエントランスなどの共用部分の持ち分が含まれています。
分譲タイプは、区分所有者が地主であるため地代を支払い義務はなく、何年経過しても更地にして返還する契約が存在しない点が定期借地権付き物件との違いです。
所有権も借地権も、高層マンションなどの1棟当たりの専用区分が多いときは、区分所有者の持ち分が少なくなる点に違いはありません。

借地権の種類

借地権は、1992年の借地借家法に基づく権利であり、定期借地権と普通借地権の2種類です。
それ以前の契約は旧法借地権、現行の法律に基づくものは新法借地と呼んで区別しています。
定期借地権の契約期間を借地借家法では50年以上と定めており、契約の更新はできません。
契約期間が満了になったときは、更地にして地主に返還するのがきまりです。
当初の契約期間が、マンションに多い鉄筋コンクリート造の耐用年数の47年を上回る設定になっており、解体して返却できる物件に向いています。
一方の普通借地権は、契約を更新できるタイプです。
当初の契約期間は30年以上になっており、1回目の更新は20年、その後は10年ごとに契約を更新できます。
地主は、正当な理由がない場合は更新を拒否できないきまりになっており、借主が解約を申し入れるまで継続できる契約です。

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定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリット

定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリット

定期借地権付きマンションは流通量が少ないため、購入する前の情報収集が欠かせません。
借地権のない分譲タイプとの違いが、維持費にも影響するからです。

定期借地権付き物件を購入するメリット

定期借地権付きタイプはマンション価格に土地代金を含んでいないため、分譲タイプよりも安く手に入れられます。
物件によっては、周辺のマンション相場よりも2割くらい価格が安くなっているケースもあり、少ない予算で購入できるのがメリットです。
所有するのが建物だけになるのは、固定資産税や都市計画税の納税額にも影響します。
分譲タイプは土地と建物のどちらにも固定資産税と都市計画税がかかりますが、借地権付きタイプは土地にかかる税金はありません。
また、分譲タイプよりも比較的好立地の物件が多いメリットもあります。

定期借地権付き物件を購入するデメリット

借地権は建物の所有者と地主の契約であり、満了日になったあとは解体して地主に返還にするきまりです。
生涯住み続けたいと思って購入しても、所有者と地主の契約が満了になると退去しなければなりません。
また、土地の所有権がないため、住宅ローンの審査通過が難しくなるケースもあります。
借地物件は所有する物件よりも担保価値の評価が低くなるため、借入金額を少なくするか返済期間の短縮化を求められたときの対処方針を話し合っておきましょう。
なかでも、中古物件は住宅ローンの返済が完了するまでに借地権契約が満了日を迎えると、建物の担保価値が消失するのが問題です。
住宅ローンを申請する前に金融機関に条件を確認し、自己資金を増やして返済期間を短縮する対応が必要になります。
このほか、定期借地権付きマンションは、入居してから負担する費用が分譲タイプよりも多いのがデメリットです。
分譲タイプで毎月負担するのは管理費と修繕積立金ですが、借地権がセットになっている物件は、地代も支払わなければなりません。
さらに、契約期間が満了になったときに備えて、部屋の所有者が毎月解体積立金を支払うシステムを導入している物件も多くあります。
購入後に毎月負担する金額は、仲介する不動産会社を通じて売買契約を交わす前に確認しておきましょう。

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定期借地権付きマンションを購入するのに向いている方

定期借地権付きマンションを購入するのに向いている方

定期借地権付きマンションを購入するか迷っているときは、物件を所有する期間に定めがある特徴に着目するのがおすすめです。
分譲タイプとの違いやメリットを踏まえて、どのような方に向いているかを紹介します。

購入費用や初期費用の負担を軽減したい方

定期借地権付き物件に向いているのは、購入にかかる費用を少なくしたいタイプです。
土地代を含んでいないため販売価格が安くなる借地権付き物件は、販売価格に連動した初期費用も少なくて済みます。
マンションを購入する際の初期費用には、住宅ローンの事務手数料や保証料など金融機関に支払う費用と登記にかかる費用などです。
住宅ローンの事務手数料は契約にもよりますが、借入額に一定の割合を支払うタイプは、借入額が少なくなると比例して手数料も安くなります。
登記にかかる費用には登録免許税と司法書士報酬があり、土地の登記手続きが不要になるだけ負担軽減が可能です。
建物の登記にかかる登録免許税と司法書士報酬は物件価格に連動しており、借地権を理由にした減額はありません。

相続が問題化するのを避けたい方

所有する財産を亡くなったあとに、子どもや親族に相続させるつもりがない場合や相続する対象がないタイプは、借地権付き物件が向いています。
マンションは、借地権の期限切れにともなう取り壊しが決まっており、自動的に所有権もなくなるからです。
ただし、土地の借地権や建物の所有権は消失しても、所有する財産などは処分方法を決めておかなければなりません。
所有する財産を相続させる相手や対処する方を決めておく手続きだけは、忘れないようにしましょう。

ライフサイクルに応じた住み替えを考えている方

契約満了時には転居するのが前提の契約になっており、住み替えを考えている方に向いている物件です。
定期借地権付き物件は好立地に多いため、仕事に就いている間は交通アクセスのよい環境を好み、リタイア後に住み替えたい方が該当します。
また、独身の間は好立地の物件、結婚後の子育ては郊外の静かな環境に住まいを移したい方も向いているタイプです。
ライフサイクルに応じた環境を選択する暮らし方は、生活の質を向上させる効果も期待できます。

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まとめ

定期借地権付きマンションは、期限を定めた借地権契約をしている物件であり、購入後は毎月地代を支払う契約です。
分譲タイプよりも、土地部分の固定資産税や都市計画税の負担が軽減できますが、借地権契約の満了時には解体するのが前提になっています。
相続でもめたくない方や初期費用を安くしたい方に向いている物件です。


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