住み替えでつなぎ融資が必要となるケースとは?メリット・デメリットを解説

購入の豆知識

二見 敬祐

筆者 二見 敬祐

不動産キャリア11年

とにかくお客様に笑顔でいて欲しいです。
物件のお引き渡し後も頼られるとこちらも嬉しくなりますので、何でも頼ってください!

住み替えでつなぎ融資が必要となるケースとは?メリット・デメリットを解説

子どもが成長して手狭になった、通勤しやすい場所に引っ越したいなどの理由で、住み替えを考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、タイミングによっては資金繰りが難しく、悩んでしまうこともあるでしょう。
資金繰りには、いくつか種類がありますが、この記事では「つなぎ融資」について解説します。

住み替えで利用できる「つなぎ融資」とは?

住み替えで利用できる「つなぎ融資」とは?

旧居から新居へ、住居を変えることを「住み替え」といいます。
賃貸物件からマイホーム、マイホームから賃貸物件など、住み替えにもさまざまな形がありますが、「マイホームを売却して新たにマイホームを購入する」ケースをご紹介します。
売却と購入の両方をおこなう住み替えは、「売り先行」と「買い先行」の2種類です。

売り先行・買い先行とは

売り先行とは、その名のとおり先に旧居を売却し、そのあとに新居を購入する流れのことです。
売却で得たお金を購入資金に回せるため、ゆとりある資金計画が立てられます。
売り急ぐ必要がないため、条件の良い買主をしっかりと見極められる点も、売り先行のメリットのひとつです。
しかし、生活している状態で内覧を実施しなくてはならないため、買主が生活感を感じ取ってしまい、売却が難しくなるおそれがあります。
また、買主が決まった際に、売主の新居が決まっていない場合は、一時的に仮住まいが必要となることがデメリットです。
買い先行とは、売り先行とは反対に、新居を購入したあとで旧居を売却する流れのことをいいます。
メリットは、じっくりと新居を探すことができる点や空室の状態で内覧を実施できる点、デメリットは旧居の売却が決まっていないため資金計画が不透明になりやすい点です。

つなぎ融資とは

売り先行にも買い先行にもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとはいえません。
同じタイミングで売却と購入が決定することが望ましいのですが、同時に進めることはなかなか難しいでしょう。
買い先行の場合は、売却したお金を購入資金に回すことができず、金銭面での悩みが生じる方が少なくありません。
また、住宅ローンの融資実行日が、決済日よりも遅くなってしまうこともあるでしょう。
そのようなケースで利用できるのが、つなぎ融資です。
つなぎ融資とは、新居を購入してから金銭面の都合がつくまでの期間を「つなぐ」役割をもつ短期ローンのことをいいます。
つなぎ融資は住宅ローンとは異なり、一括返済が基本です。
また、融資期間の延長はできません。
利率は住宅ローンより高いケースが多くなっていますが、有担保型の商品では利率を下げることができます。

▼この記事も読まれています
マイホーム購入時の住宅ローンはどう選ぶ?3つの観点から解説!

住み替えでつなぎ融資が必要となるケースとは

住み替えでつなぎ融資が必要となるケースとは

前章でご紹介したように、住み替えでつなぎ融資が必要となるのは、買い先行で一時的に資金が足りないケースです。
具体的には、次のようなケースが挙げられます。

ケース①旧居の売却が間に合わない

不動産は一点ものです。
また、条件の良い不動産は、すぐにほかの買主が購入するおそれがあります。
そのため、理想どおりの物件が見つかった場合は、なるべく早く手続きを進めることが大切です。
買い先行で住み替えを進めていて、「購入したい家があるが旧居がなかなか売れない」というケースで、つなぎ融資は利用されます。

ケース②抵当権抹消の費用がない

住宅ローン残債のある不動産には、抵当権が設定されています。
抵当権とは、「住宅ローンの支払いが滞った場合、競売にかけて住宅ローンを回収します」という金融機関側の権利のことです。
抵当権が設定されている不動産は買主が不安感を抱くこともあり、売却が難しくなります。
売却するためには、住宅ローンを完済してしかるべき手続き(抵当権抹消登記)をおこない、抵当権を抹消しなくてはなりません。
抵当権抹消手続きを司法書士に依頼する場合には、依頼費用としてさらに数万円程度必要です。
そこで、旧居の住宅ローンを一括返済するために、つなぎ融資を利用するケースがあります。

ケース③住宅ローンの融資実行日までタイムラグが生じる

不動産を購入する際は、売買契約を締結したあとに、決済と引き渡しをおこないます。
住宅ローンの融資実行日は、決済日に間に合うように設定することが一般的ですが、契約のタイミングによっては間に合わないかもしれません。
つなぎ融資を利用すると、融資実行日が決済日に間に合わなくても、つなぎ融資の借り入れ金で購入費用を支払えます。
住宅ローンが実行されたら、つなぎ融資を一括返済する流れです。

▼この記事も読まれています
住宅ローンの審査基準とは?とおりやすくするための対策も解説

住み替え時につなぎ融資を利用すると生じるメリット・デメリット

住み替え時につなぎ融資を利用すると生じるメリット・デメリット

このように、つなぎ融資は住み替え時の「一時的に資金繰りに困った」状況でよく利用されます。
どのようなメリット・デメリットがあるのかによって、利用を検討する方も少なくないでしょう。
住み替え時につなぎ融資を利用するメリット・デメリットは、次のとおりです。

メリット①住みたい家の購入を逃さない

つなぎ融資を利用するケースでご紹介したとおり、つなぎ融資は購入したい家があるものの、金銭的な都合がつかないケースで利用されます。
そのため、住みたい家の購入を逃さない点がメリットです。
旧居の売却が進んでいない状態でも購入資金を得られるため、すぐに購入手続きに進めます。

メリット②デメリットを減らしつつ買い先行で住み替えを進められる

つなぎ融資を利用すると、売却で得たお金がなくても資金を確保できるため、買い先行のデメリットを減らして住み替えを進められる点がメリットです。
つなぎ融資を利用しても、空室の状態で内覧を実施できる、じっくりと新居を探せるといった買い先行のメリットは変わりません。
空室の状態で内覧を実施すると、生活感のない状態で購入希望者が遠慮せずに物件をチェックできるため、売却しやすくなります。
仮住まいを用意する事態に陥る心配はなく、資金不足の不安もなく、買い先行のメリットを生かして住み替えを進められるでしょう。

住み替え時につなぎ融資を利用すると生じるデメリット

つなぎ融資は便利ではありますが、メリットばかりが生じるわけではありません。
つなぎ融資を利用すると、次のようなデメリットも生じます。

●借り入れ金以外に事務手数料が生じる
●売却価格によっては資金計画が狂うおそれがある
●遅延損害金が発生するおそれがある


つなぎ融資の利用時には、10万円程度の事務手数料を支払わなくてはなりません。
つなぎ融資の利息も含めると、借り入れ金以外に数十万円を返済することになるでしょう。
一時的に経済面の不都合を補えるものの、結果として出費が増えてしまう点が第一のデメリットです。
次に、売却価格によっては資金計画が狂う点がデメリットとして挙げられます。
つなぎ融資を利用した場合、のちのち借り入れ金を一括で返済しなくてはなりません。
旧居を売却して得たお金をつなぎ融資の返済にあてたいと考えていたものの、思ったような金額では売れなかったというケースもあります。
住み替えの資金計画が狂い、つなぎ融資を融資期間内に返済できなくなった場合は、遅延損害金が発生するため注意が必要です。
つなぎ融資は、融資期間が1か月~1年の短期のローンであり、この期間内に返済ができない場合は、年間14%の遅延損害金が発生するおそれがあります。
短期間での返済となるため、かえって資金繰りに悩むことになるかもしれません。

▼この記事も読まれています
住宅ローンの借り換えとは?借り換えの活用法とメリットも説明

まとめ

つなぎ融資とは、買い先行で住み替えを進めた際の、一時的な資金不足を補うローンのことです。
新居を見つけたものの資金が足りないケースや、抵当権の抹消費用が支払えないケースなどで利用されます。
つなぎ融資を利用するメリットは、住みたい新居を逃さず購入できる点などです。


”購入の豆知識”おすすめ記事

  • 住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングとは?返済方法や注意点も解説の画像

    住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングとは?返済方法や注意点も解説

    購入の豆知識

  • シニア世代におすすめのマンションの間取りとは?選ぶ際のポイントも解説の画像

    シニア世代におすすめのマンションの間取りとは?選ぶ際のポイントも解説

    購入の豆知識

  • 老後は一戸建てとマンションのどちらが良い?メリット・デメリットを解説の画像

    老後は一戸建てとマンションのどちらが良い?メリット・デメリットを解説

    購入の豆知識

  • グリーンリフォームローンとは?融資対象となる方や対象の工事について解説の画像

    グリーンリフォームローンとは?融資対象となる方や対象の工事について解説

    購入の豆知識

  • 中古マンションの購入する方はチェック!価格の推移や築年数の限界は?の画像

    中古マンションの購入する方はチェック!価格の推移や築年数の限界は?

    購入の豆知識

  • 土地の固定資産税を軽減したい方向け!計算方法や軽減方法を解説の画像

    土地の固定資産税を軽減したい方向け!計算方法や軽減方法を解説

    購入の豆知識

もっと見る