中古マンションの寿命は?築年数ごとの価格推移とねらい目を解説

購入の豆知識

二見 敬祐

筆者 二見 敬祐

不動産キャリア11年

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中古マンションの寿命は?築年数ごとの価格推移とねらい目を解説

マンションの購入を考えている中で、中古マンションのねらい目が知りたいと方も少なくないでしょう。
建物の寿命や築年数の価格推移に関する知識を身に着けておくと、購入する際に役立つでしょう。
今回は中古マンションの寿命と価格推移、物件のねらい目を解説します。

中古マンションの寿命は築年数で何年目か

中古マンションの寿命は築年数で何年目か

マンションは最大何年まで持つのか、どのような要素が建物の寿命に影響するのかは知っておきましょう。
建物の寿命と類似した言葉に耐用年数がありますが、意味合いが異なるため注意が必要です。

建物の寿命

平均寿命とは、各自治体が管理している土地と建物をまとめたデータを参考にして算出しています。
国土交通省が提示している資料によると、鉄筋コンクリートの建物の平均寿命は約70年となります。
また、資料によるとマンションの鉄筋を覆っているコンクリートの寿命は100年であり、維持補修をした場合は120年で、外装の仕上げをした場合は150年になります。
ヨーロッパでは築年数100年以上のマンションが今も使われています。
海外と比べて、日本のマンション建築は歴史が浅く、築年数が100年前後の建物はほとんどないです。
しかし、適切なメンテナンスをすると100年以上もつ可能性があります。

中古マンションの耐用年数

耐用年数とは、通常の補修をしていれば建物として使える年数となります。
鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造の中古マンションの耐用年数は47年です。
なお、建物の耐用年数には法定耐用年数があります。
法定耐用年数とは、所得税や法人税などの計算をする際に会計処理がスムーズになるように国税庁が定めた数値となります。
つまり、建物としての資産価値がなくなるまでの年数で、居住できる期間を示すものではありません。
したがって、新築から47年以上経った中古マンションでも定期的にメンテナンスしていれば居住可能です。

建物の寿命に影響する要素とは

建物の寿命は、コンクリートの質とメンテナンス、立地に影響されます。
コンクリートは年月が経つと大気中の二酸化炭素と反応して徐々にアルカリ性から中性に変わると、マンションの鉄筋部分の腐食が進みます。
質が悪いコンクリートが用いられているマンションであれば、腐食が進行するスピードが早くなります。
さらに、構造や規模が同じマンションでも、定期的にメンテナンスされていれば寿命が長いです。
また、マンションが建っている場所と周辺の環境でも寿命は変わってくるでしょう。
たとえば、日当たりが悪い場所は風通しが悪く、湿気が溜まりやすいため、カビが増えやすい環境となります。
カビが増えると配管が腐食し、マンションの寿命に影響します。
さらに、海岸から近い場所は塩害でコンクリートの劣化が進みやすいです。

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中古マンションの築年数ごとの価格推移から見る狙い目

中古マンションの築年数ごとの価格推移から見る狙い目

新築のマンションは、どなたかから引き渡しを受けた翌日から中古の扱いとなり、当初の建物の価格の約2割安くなるでしょう。

中古マンションの築年数から見た価格相場と下落率

2019年に東日本不動産流通機構が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」では、首都圏の中古マンションの築年数に応じた1㎡あたりの価格と、下落率が確認できます。
データによると成約済みの物件と新規登録の物件のどちらも、築年数が長ければ長いほど価格が下がります。
築26年を超えると下げ止まりになり、下落するスピードが緩やかです。
また、築年数ごとの平均価格のデータを見てみると、築0~5年ではマンションの1㎡あたりの価格が80.96万円に対して、築6~10年では68.06万円と16%下落しているでしょう。
築年数が経過すればするほど建物が下落し、築20年で低値まで下がります。
データによると下落率が多いのは、築21~25年は38.70万円で下落率52%、築26~30年で29.68万円で下落率が67%となります。

築40年を超える物件は注意が必要

築40年を超える中古マンションは、耐震性能や断熱性能の観点からじっくり精査する必要があるでしょう。
1981年6月1日以降に建築されたマンションは新耐震基準が適用されており、震度6強から7程度の地震が来ても倒壊しない造りです。
それ以前に建てられたマンションは旧耐震基準で建築されており、震度5強の地震で倒壊しない造りとなります。
旧耐震基準のマンションは新耐震基準と比較して耐震性能が低く、寿命が短い可能性があります。
また、1980年に省エネ基準ができ、現在に至るまで数回改正されているでしょう。
築年数が短ければ短いほど断熱性能に優れており、冷暖房にかかる光熱費が削減できるのが特徴です。
一方で、築40年の物件は築浅物件よりも光熱費がかかり、購入価格が安くてもその後の生活費で苦労する可能性があります。

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中古マンションのねらい目となる築年数は

中古マンションのねらい目となる築年数は

中古マンションを購入するにあたって、お得感と購入しやすさ、暮らしやすさの3つの軸からねらい目が見えてきます。

お得感

築年数とマンションの1㎡あたりの単価ごとの下落率のデータから下がり幅が大きいのは、築16~20年、築21~25年であります。
底値を迎えていると、将来マンションを手放す際も値崩れしにくく、資産価値が安定するでしょう。
購入する際のお得感を重視しているならば、築20年を超えている物件がねらい目となります。
なお、住宅ローンの控除を利用した場合、10年間で最大400万円の所得税や住民税が控除されます。
ローンの控除を受ける際は、マンションの築年数が25年以内でないと控除が受けられない点から、築21~25年の物件がねらい目です。

購入しやすさ

築5年以内のマンションの物件数は少ないうえに人気が高く、競争率が高いです。
築5年を超える物件は一定数あり、築浅物件よりも競争率が下がるため、お客様の好みの物件が見つかりやすい傾向にあります。
2022年に売却に出されている中古マンションの平均築年数は23. 33年となります。
もし、住宅ローンの融資を受けて中古マンションを購入する際は注意が必要です。
ローンの返済期間は最長35年ですが、築年数が長い物件は残存期間が短い点から、返済期間を15年や25年に制限している金融機関があるでしょう。
さらに、築年数が長いと建物の評価額が低いため、借入額を下げる金融機関もあります。
このように物件数と住宅ローンの観点から、築6~30年のマンションがねらい目となります。

暮らしやすさ

築5年以内のマンションは、建物の外壁や内壁が劣化しておらず新築のような清潔感があるでしょう。
モニター付きインターホンや浴室乾燥機、宅配ロッカーなど設備が充実しており、快適に過ごしやすいです。
築5年を過ぎるとキッチンや浴室などの水周りの使用感が出てきます。
もし、清潔感や設備の充実度を重視している方は、築浅物件がねらい目となります。
安心して暮らすうえで、耐震性も意識したほうが良いです。
2019年に国土交通省が発表したデータによると、中古マンションの全体の6分の1が旧耐震基準か、旧旧耐震基準です。
旧耐震基準の物件が新耐震基準より必ず耐震性が低いわけではないですが、もし耐震性が気になる方は築40年を超えるマンションの購入を避けましょう。

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まとめ

鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造の中古マンションの耐用年数は47年とされていますが、コンクリートの寿命が長いため47年以上経過しても住めます。
中古マンションの購入するにあたって、お得感を意識する際は築21~25年、購入しやすさを意識する際は築6~30年がねらい目です。


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